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葉(よう)のさきから

  • 執筆者の写真: み みな
    み みな
  • 2015年7月26日
  • 読了時間: 1分

「18番街を抜けた先に ぽつんと聳える黒い黒い街灯がありました

街灯は毎日道はずれの通りを歩く人々を眺めていました

家路につく人や子供たち

山高帽を被る老人を見つめ

老人は 街灯に集う虫の羽音を聴いていました―――」

...........................................................................................

葉のさきから溢れる記憶は、どうしても消えない。

どうして消えないのでしょうか。

「それは、ここに在り続けるからだよ。記憶はどこにも行かない。

僕がそれをここに留めている。」

ならば、これは過去ですか?

「そうなるね」

ではこれは、記憶でしかないのですか?

「心外だな、それは記憶が悪いみたいじゃないか。

記憶は見たもの感じたものが素直に出てくるんだ。最も美しい形でね。

記憶はどこにも行かなくても、永遠に変わり続ける。誰かの心に触れてしまえば。

美しいものじゃないか。」

誰かの心に触れる。

「記憶と過去は繋がっている。今僕と君はここにいる。これは過去だ。

ならば君は?君は誰といる?」

あなたといる。

「それが記憶だ」

記憶。

私の記憶は、どこにありますか。

あなたは私の記憶を、どこに留めておりますか。

「……。

記憶はいくらでも いくら経っても過去の中にあるのに、

これから先の記憶はどこにもないのは、どうしてだろうね?」

わからない。

私は、葉のさきから、追憶を繰り返す。

 
 
 

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