星と無意識
辺りには、まだチカチカと星が光っている。
畏怖、依存、崇拝。そして、憎悪の塊だ。
................................................................................... 「怖い夢をみた?」 細く、長い指が私の瞼をなで、そのあと、かすかに汗ばんだ額の前髪をかき上げた。 いつもの笑顔だ。遮られていた彼の顔がはっきりと見える。こうなってしまえば、私はどうしようもない。 彼の瞳から目を逸らすことができない。 「…わからない」 何がわからないのか。ようやく吐き出した答えだというのに、曖昧な言葉になった。 それでも本当だ。本当にわからなかった。あれが夢なのかどうかも、今の私が本当に今の私であるのかも。 彼女の言っていた言葉がぐるぐると回る。何か忘れているような… だめだ、何を考えているんだ?今の私はどんな顔をしている? まだ、星は消えない。 「わからない…」 「わからないよ、助けて…」 声を押し殺して、息だけで呟いた。 ずっと見つめていたその瞳が、その時、ほんの少し丸くなったが、すぐに目を細くして微笑んだ。 「やっぱり怖い夢を見たんだね」 そう言って、私の頭を撫でる。 「大丈夫だよ、すぐに忘れよう。 君が汲み取ったその無意識を失えば、彼女ももう二度とそこには訪れることもないだろうから」 「もう一度眠るといい。 ほら、目を閉じて」 またあの夢を見てしまうかもしれない、という恐怖はなかった。 言われるままに瞼を落とし、暗闇の世界へと入った。 その時だったか、ほんの一瞬だけ、普段から笑顔を崩さない彼の表情が、どこか哀しそうに曇っていた。 「おやすみ」 星はいつの間にか消えていた。