赤を読む
長い黒髪を揺らし、少女は夢をみた。
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「だれ…?だれなの…?」 私の名前を呼ぶ声が闇の奥から聴こえてくる。 私の足取りは不思議と軽く、まるでそれはその声に応えるように。 しばらく歩いたところで、ぴたりと足が止んだ。私を呼ぶ声はまだ止まない。 白い怪物がそこにいた。 木苺の生る森から。 ぐしゃぐしゃと咀嚼音をたてて。
それは木苺だった。
熟れた木苺は、どろどろに崩れて、地面にだらしなく垂れている。
怪物は、大きな口を真っ赤にして、その白い身体をより一層おぞましくする。
怪物の視線の先は、肉片だった。
それが何であったか、私はよく知っていた。